ボラード病
- 2014/08/25
- 07:53

「ボラード病」 吉村萬壱 文芸春秋。
まずはこれを書いた著者の勇気に感心した。よく書いたよなあ。
物語は、小学五年生の女の子の母一人、子一人の生活が綴られる形で始まる。
この女の子の母親はどこか変である。食事には缶詰やカップ麺など健康に悪そうなものしか出さないし、
隣の家が塀に穴をあけて覗いていると言ったり、どうもおかしい。
しかしおかしいのは母親だけでなく、学校生活も異様さが漂う。
そうこうするうち、クラスメートが突然死するのだが、実はそれまでにもう何人も死んでいたことが明らかになる。
いったいこれは何か。
そして事の真相が明らかになるのだが、変が実は変ではなく正しかったという驚き。
細かい部分も凝っている。
私はランドセルから技能員室で貰った葉の付いた痩せた人参を取り出し、「お手」と言いました。しかし、うーちゃんがお手など出来る筈がありません。
うーちゃんは女の子が飼っているうさぎで、うさぎにお手はできないよな、
と思って読んでいくと、ラストでその本当の理由が明らかになる。
ネタバレになるから書けないが、これは今読んでおくべき物語でもある。
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